「時代は繰り返す」とよく言いますが、美容やヘアスタイルの世界でもまさにその通りだな、と日々感じます。
たとえば、今人気の“ウルフカット”。このスタイルは1970年代に流行し、2000年代にも再びブームになりました。そしてここ数年、若い世代を中心にまた注目を集めています。形やニュアンスは少しずつ変わっていますが、軽やかな動きや個性的な雰囲気は、何十年経っても人を惹きつける魅力があるのでしょう。
メイクの世界でも同じことが起きています。90年代の“細眉”ブームが過ぎ去ると、次は“太眉”が主流に。その後またナチュラル志向に戻るなど、流行はまるで波のように行ったり来たり。髪色でも、明るいハイトーンが流行ったかと思えば、落ち着いた暗髪や黒髪が再評価されるといったサイクルを繰り返しています。
なぜ流行は繰り返すのでしょうか。ひとつは「懐かしさ」。ある世代にとっては青春時代を思い出させ、また次の世代にとっては「新しいもの」として新鮮に映ります。さらに、昔のスタイルが“今っぽく”アレンジされることで、時代に合わせた魅力を持つようになるのです。
美容師をしていると、お客様の言葉の中にもこの“繰り返し”を感じる瞬間があります。
「学生の頃に流行った髪型に、また挑戦してみたくなった」
「若い頃は好んでいたカラーを、今になってもう一度試したい」
そんなお声をよく耳にします。年齢やライフスタイルが変わっても、人が求める“似合う髪型”や“美しくありたい気持ち”は、時代を超えて同じなのかもしれません。
これからも新しいスタイルが次々と生まれる一方で、また懐かしいスタイルが戻ってくることもあるでしょう。その繰り返しの中で大切なのは、「自分に合う形で楽しむこと」だと思います。流行を取り入れることも素敵ですし、自分らしさを大切にしたアレンジもとても魅力的です。
“時代は繰り返す”。その言葉は、私たちが髪型を通して自由に楽しめる選択肢が、いつの時代にもあるということの裏返しなのかもしれません。

